日本の安全保障
安全保障
詳細は日本の軍事、防衛省、自衛隊をそれぞれ参照
海上自衛隊
陸上自衛隊
航空自衛隊日本国の安全保障は自衛隊と日米安全保障条約に基づく日米同盟とによって担保されている。
事実上の軍事組織(軍隊)として自衛隊を有し、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊がそれぞれ陸軍、海軍、空軍に相当する。担当省庁は防衛省、最高指揮官は内閣総理大臣。
準軍事組織は沿岸警備隊に相当する海上保安庁を持つ。日本は現在、陸上の国境を喪失しており国境警備隊は持たない。 警察は治安維持を目的とする文民警察のみを持ち、SAT等の対テロ部隊を擁する程度である。
特徴
自衛隊は専守防衛の観点から、陸上自衛隊は国土防衛と災害救助、海上自衛隊は対潜水艦戦能力と対機雷戦能力、航空自衛隊は迎撃戦と陸上・海上部隊の支援に特化した編成を取っている。一方、他国へ侵攻するための装備は保有していないため、海外への派兵能力は低い。
日本は第二次世界大戦以降、60年にも渡って直接の戦争を経験していない(厳密には朝鮮戦争で海上保安庁の掃海部隊が派遣されており、これが現時点での最後の日本の参戦となる)。海上自衛隊の自衛艦隊は古くから遠く海外にも派遣されており、陸上自衛隊、航空自衛隊も近年は自衛隊海外派遣に出されている。しかし、それでも他国と交戦した事はないため、実際の戦闘においての活躍は未知数である。
陸自の配置は北海道・東北に重点が置かれているがこれは冷戦期にソ連と対峙していた名残である。近年では中国と北朝鮮の脅威に対抗するため、部隊の西方移転が進められているが、駐屯地の移転などは簡単ではなくあまり進んでいない。
自衛隊の兵器は日本の高い基礎工業力を生かし、車両・艦船の多くと一部航空機は独自開発であり、他国製品であってもライセンス生産を行うなど、出来る限り兵器を国内で調達する傾向がある。
防衛費
2006年(平成18年)の防衛予算の国内総生産 (GDP) に占める割合は0.92%で、GDPに占める割合の順位は世界の140位前後である[59]これは世界全体の平均値である2.0?2.5%(統計の方法で異なる)よりもかなり低く、国力に比して低い予算しか与えられていない。また、自衛隊の兵員数や戦車数、作戦機数、軍艦数などから計算される部隊規模はどれも小さく、同盟国との相互補完や質の向上によって不足分を補う状態が続いている。近年は財政再建圧力から自主的な軍縮傾向が続いている。この軍縮は仮想敵国との軍縮条約などに基づく協調的なものではなく日本のみが軍縮を行う一方的なものであるため、防衛力が相対的に低下すると言われている。アメリカのシーファー大使は2008年5月20日に行われた日本外国特派員協会の講演にて、日本の周辺国の国防費が大幅に増加しているにもかかわらず、日本のGDPに占める防衛費の割合が低下し続けていることに懸念を示した[60]。
ただし、防衛費総額をドル換算して比較した絶対額は上位グループになる。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計によると、2007年度の日本の防衛総予算は、為替レートベースでは436億米ドル(世界シェア4%)で、アメリカ、イギリス、中国(実質2位。純粋な防衛予算として計上される額こそ少ないものの、科学予算等として計上される関係予算が非常に大きいため)、フランスに次ぐ5位であり、購買力平価ベースでは370億米ドルで、アメリカ、中国、ロシア、インド、イギリス、サウジアラビア、フランスに次ぐ8位である[61]。その理由として、まず日本のGDPそのものが大きく国力が高い事、日本円が強い通貨であること、広大な領海とシーレーンを持つ事、周囲を軍事大国である仮想敵国に囲まれていること、規模が相対的に小さい故に人員・兵器ともに高品質なものを目指していることがあげられる。さらに他国に比べて人件費が高いこと、高性能・高コストな兵器を調達する傾向にあること。兵器の国産化を指向しているにもかかわらず武器輸出三原則により兵器の輸出を自粛しているため兵器単価が下がらないためなどの理由が挙げられる。2008年(平成20年)の防衛予算は4兆7797億円(本体予算4兆7426億円+沖縄に関する特別行動委員会費180億円+米軍再編関係費191億円)[62]。
兵力
人口に占める自衛隊員の割合は0.19%であり世界最低水準であるにもかかわらず隊員の削減が行われている。[63]2008年(平成20年)における自衛官の定員は25.1万人、実際の充足人員は約24.1万人で、そのうち陸上自衛隊が約14.9万人、航空自衛隊は約4.5万人、海上自衛隊は約4.6万人の現役隊員がいる。予備役に相当する予備自衛官は約5.9万人で現役隊員に対する割合が非常に低い。[64]自衛官は全志願制で特別職国家公務員としての地位が与えられる。
周辺国の脅威
冷戦終結により東アジアにもたらされた平和の配当は僅かだった。2008年(平成20年)現在北朝鮮の核兵器開発や中国の軍拡、ロシアの復調など予断を許さぬ状況にある。特に中国は安全保障上の脅威がないにもかかわらず、20年連続で二桁成長の軍拡を続けている。台湾有事やチベット等への弾圧問題もさることながら、経済力・軍事力を背景にアジア地域の覇権を獲得しようとする行動が目立つ。将来それが東アジアの軍事バランスに大きな影響を与え、場合によっては日米と衝突する事が懸念されている[65]。それに対して、日本は日米同盟の維持と環太平洋地域との関係強化で対応を図っている。アメリカ合衆国とは日米安全保障条約によって軍事同盟の関係にあり、在日アメリカ軍が駐留している。さらに、オーストラリアとは日豪両国の安全保障に関する共同宣言が2007年(平成19年)3月に調印され、自衛隊とオーストラリア軍とのより緊密な協力が検討されている。
法的な位置づけ
自衛隊の創設以来、自衛隊は日本国憲法第9条が謳う戦争放棄に反するのではないかという論争が続いている。現在、日本政府は憲法は自衛戦争を禁ずるものでないとする憲法解釈により自衛隊は合憲としているが、逆の解釈をする自衛隊違憲運動も根強い。この問題を解決するための改憲運動と、それに反対する護憲運動の対立が続いている。
自衛隊の法的根拠は自衛隊法であるがこれは軍法ではなく自前の裁判所たる軍法会議も持たない。これは日本国憲法第76条が特別裁判所の設置を禁じているためである。その為、有事の際に作戦行動を行うと殺人罪などの国内法で罰せられる可能性がある。この問題を緩和するため有事法制の整備が進められている。
防衛と政治
自衛隊は文民統制下にあり、総理大臣が最高指揮官を務める。また、防衛省背広組は警察庁など自衛隊以外からの出向者が多数含まれている。戦前の陸海軍が大日本国憲法の統帥権を根拠に独立性を徐々に強めていったことへの反省から、文民統制の維持に非常に大きな努力がはらわれている。 また、自衛官の政治活動は制限されており、佐藤衆議院議員の立候補は自衛官を辞職した上で行われた。
外交の後ろ盾として軍事力は欠かせないものであるが、日本は紛争解決などの為に軍事力を行使する事を放棄している。
シーレーン防衛
国内の安全保障としては、1980年代より海洋国家論の高まりと同時に、軍事的な自衛のみならず、経済・食糧・エネルギー・環境などの総合安全保障の重要性が、認識されるようになっている。各国との相互依存関係や協力関係、経済関係を安全保障の助けとする考え方である。ハードな安全保障としては、通商(海戦や通商破壊などの危険回避)や漁業の安全を維持する上でシーレーン防衛が不可欠であるとの見解があるが、一方で専守防衛の原則や集団的自衛権を行使できないという制約がある。世界中と貿易を行う日本のシーレーンが世界に広がっていることから、日本の自衛隊ですべてのシーレーンを防衛することは困難である。世界に軍事展開をし、同じく海洋国家として海洋の自由を標榜するアメリカ合衆国と安全保障上の協力を行うことで、日本の防衛コストを抑制した形での有効な海洋の安全を図っている。一方で、マラッカ海峡などの海賊やテロは東アジア全体の共通危機となっている。非対称戦争に対応した国際警察力の強化と、紛争の予防も課題となっている。
核抑止
日本の主たる仮想敵国のうち、中国とロシアが核兵器の大量保有国である上、北朝鮮が核兵器開発成功を発表している。それに対して、日本は自国の核兵器開発を全否定しており、今後の予定もない(非核三原則にのっとり日本に核兵器が存在しないということになっている)。そのため、核抑止は専ら同盟国である米国の核の傘に頼っている。
海外の評価
自衛隊は実戦を経験していないため、その実力への評価はまちまちである。しかし、定評ある海外製兵器やそれと同等かより高性能と見られる国産兵器を多数持つこと、公開演習などを通じて知られる高い練度などが評価されている。
イギリスの経済誌エコノミストの調査部門であるEIU(Economist Intelligence Unit)が、平和度の指標となる24項目[66]を数値化した2008年(平成20年)の平和度指数の国際比較(世界平和度指数)[67]によると、日本は戦争・内戦・テロとそれによる死傷者が無く、軍事費のGDP比が低く、犯罪率が低いことなどが原因で、アイスランド、デンマーク、ノルウェー、ニュージーランドに次いで5位に評価された。
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